なにげに2年以上、つまりコロナ禍体制になってから行ってなかった早稲田松竹。
『DUNE/デューン 砂の惑星』
全席指定になったとは聞いてたが(それも二本立てで)どう管理してるんだろと思ったら、チケットに座席番号を手書きだった。
まあこれがシンプルで確実か。やはり二本立てがネックでシステム化は面倒そうだしできても入力が手間だろう。でも窓口二つで同時に受け付けてたからコンフクリクトしないのかなってのは気になった。あとは一本上映毎に場内を空にして換気と消毒の時間を取るので荷物全部持って追い出される。そのため上映間隔がだいぶ長くなってた。
朝一は上映開始の40分前開場になったというので一時間前に行ってみたんだけど、一人しか並んでなかった(笑。 うーん、二本ともそこそこのビッグタイトルだと思ったんだけど、大ヒット作って感じでもないのか。『ホドロフスキーのDUNE』のイメージが強くて、デューンて根強いファンが多いんじゃねえの? と思ってた。なかなか読めない。
デューンって、もっと砂漠の惑星で怪物とのバトルがメインの『禁断の惑星』みたいな話かと思っていた。あと『惑星ソラリス』とも一部ごっちゃになってた。その全部に興味がない。併映の『最後の決闘裁判』が観たくて行ったので予習もしてなかった。押井守がずいぶん褒めてたっけな、というのをオーニソプター(字幕では「羽ばたき機」)が出てきた時点で思い出した。単純な冒険活劇かと思ってたら宇宙の皇帝がいて、配下の領主が未開の惑星に軍隊を送って資源を採集して、現地の住民と争って、ってスターウォーズみたいなノリなのね。画的にもスターウォーズ的だった。帝国の大貴族で皇帝の地位を脅かすようなのが複数いたり、みたいなところはスターウォーズより政治的。問題の惑星にある資源は「香料(spice)」と呼ばれてるのだが大航海時代の香辛料的な意味で貴重なのではなくある種の薬品で、惑星間航行にも必要と言われてるのでエネルギー資源なのか? と思ったらそういうわけでもなく向精神薬ということらしい。現地民は幻覚剤として使ってるとも言ってたか。てな感じでやたら設定がややこしいので原作も読もうかと思ったら一作目だけで上中下巻なのかよ。長いよ! さらにその後もデューンシリーズとして延々と続くらしい。知らんかった。
ていうか舞台となる砂の惑星の名前は「アラキス」で、じゃあデューンて何なんだよ? てのがそもそもわからない。現地人(フレメン)の言葉でこの星のことだったっぽい? 主人公の母親はベネ・ゲゼリットという超能力者の宗教結社みたいな組織のメンバーで息子にもフォースみたいな能力の稽古させてたり、宇宙戦争なのに火器をほとんど使わずに刃物で白兵戦やってるのもなぜなのかわからん。よけいスターウォーズっぽいじゃねえかよ。この星でしか取れない香料の利権が大きすぎて領主のハルコンネン男爵家が力を着けすぎたから取りあげて主人公のアトレイダス公爵家に転封された、って話なのに、公爵からすると前領主が残していったはずの機材が使い物にならなくて香料集めが全然捗らない(こうしてみると江戸時代の大名争いみたいだ)。と言ってたらなぜかその前領主ハルコンネン男爵の軍が攻め込んできて、しかも皇帝直轄の近衛軍も加勢してて、ってどうしてその流れになるのか全然わからない。あと帝国の監察官はフィールドワークで現地民に溶け込んでる学者というありがちなキャラなんだけど、監察官として前領主からの引き継ぎ不正を訴えられた時は「自分には関係ない、何も見ていないことにする」とか握りつぶそうとするくせに、主人公と母親が殺されそうになるのは助けて現地民のところへ逃がそうとする。こいつも何がしたいんだかわからん。
そんなこんなで150分超あってクソ長いくせに話が全然進まない。公爵だった親父が殺されて、砂漠に逃げて、現地住民と組んでさあ反撃するぞってところで終わり(つまり続編に引いてる。原題に "PART ONE" とあるのには気づいてたぞ)。普通の映画だったら冒頭30分でやる話だろ! 音楽が単調なのも個人的にはキツかった。押井守は褒めてるが、ミニマルというかドローンな音で砂漠のシーンになるたびにジャーン! みたいな感じで、またこれかよと。
主人公の予知夢に出てくるメインヒロインぽい現地の女の子は結局ラスト近くまで登場しないし、実質ヒロインが主人公のオカンなのもつらい。殺されそうになって砂漠に放り出される時もオカンと二人だし、とんだマザコンムービーですよ。服を脱いで保水スーツに着替える時にちょっとお互い気にしてるっぽいのも気色悪いし、オカンが妊娠中なのをまだ数週目なのに主人公が言い当てるシーンもあって、これは超能力が目覚めつつあるのを暗示するシーンかつ続編への伏線なのかもしれないけど、とにかくオカンムービー的な観点でみると引っかかる点が多々ある(笑。
まあさんざんスターウォーズっぽいとか書きましたけどもちろん原作はスターウォーズよりずっと先なわけで、むしろ後続作品に様々な影響を与えたオリジンとしてエポックな作品だったわけですよね。地下の実験室みたいなとこで植物を育ててる画は明らかにナウシカの元ネタっぽいよなあとか。
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