90年にBS2で放送されていたアニメ『ロビンフッドの大冒険』の原作がアレクサンドル・デュマだという話を今さら知って、デュマがロビン・フッド書いてたの!? 絶対面白いじゃん! と思って調べてみた。
デュマのロビン・フッド?
いや当時そのアニメをみてたわけだから毎週画面に原作デュマって表示されてたはずだろと思うのだが、認識してなかったな。ということはロビンがハンティンドン伯爵の子という設定だったり、リトルジョンがグレート・ジョンを自称してるんだけど誰もそう呼ばず最終回でロビンが初めてグレート・ジョンと呼ぶ流れもデュマだったの? と。『トム・ソーヤの冒険』に出てくるロビン・フッドごっこのくだりもどうもハワード・パイル版と違うなあと思ってたがもしかしてあれもデュマのだったんだろうか。『ハックルベリー・フィンの冒険』のほうでは『ブラジュロンヌ子爵』(三銃士の第三部)が引用されててトムがデュマ愛読者である傍証にもなる。などなど。
自分ちょっとロビン・フッドオタクだった時期があり、デュマも好きな作家なので、好物と好物のコラボレーションじゃん! となったのだが、それにしては読んだことないどころか聞いたこともない。デュマが書いたロビン・フッドなら普通に考えてもっとメジャーな扱いでもいいのに、でも意外と日本には翻訳で入ってきてないみたいなこともあるからな、あるいはたとえば小説じゃなく戯曲だとか、あまり一般に読まれにくい事情が他にあるんだろか、もちろん単に出来が悪くて埋もれてた可能性もなくはないが、などいろいろ考えつつ調べてたら、初刊が1872年という情報が出てきて、それ自体が確かな話かも不明だがその年には既にデュマ死んでるじゃん! まさか息子のほうのデュマじゃねえだろな? などますます混乱し、最終的にフランス語版Wikipediaのデュマの記事に答えらしきものがあった。いわく、「デュマ作と誤伝された作品」にそれらしきものが含まれている。デュマの名前を利用するためにわざと誤解されるような形で出版した、的なことも書いてあって、ありそう~と思った。で、研究史とかはさすがにわからんけど、おそらくわりと最近までデュマ作と看做されていたんではないかなー。
そもそも日本のアニメの原作になってるということはさすがに日本語で参照された原作本があるはずで、それは小学館の国際版少年少女世界文学全集 10巻『ロビン・フッドの冒険』でこれは1977年刊のようだ。その時点では明確にデュマ作品として刊行されており、その後(?)どうやらデュマの真作ではないとわかってきてからも、日本にはその情報がちゃんと入ってきていなかったんではないかと。少なくともデュマ作品として新たに翻訳されてはいないから、専門家には知られた事実なのかもしれないけど、調べた限り日本語の情報はなかったので、ここに記しておくのも無駄ではないかな、と、そんな意識でブログを書いている。
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