https://www.comitia.co.jp/html/138.html
津原泰水先生が『五月物語』『五月日記』の同人版を出すというのでたぶん二十数年ぶり(!)にコミティアに参加した。
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津原泰水先生が『五月物語』『五月日記』の同人版を出すというのでたぶん二十数年ぶり(!)にコミティアに参加した。
『五月物語』および『五月日記』とは、津原泰水先生がかつて「津原やすみ」名義で執筆、講談社X文庫ティーンズハートから刊行された少女小説「あたしのエイリアン」シリーズに属する作品で、シリーズ主人公のライバルにあたるキャラ「岡村五月」が語り手の、内容としては番外編になる。ところが私はどういうわけかこのシリーズを刊行順にちゃんと読まず早い段階でこの五月二部作を読んでしまい、五月に思い入れができすぎてシリーズ本来の主人公のほうに肩入れできなくて読めなくなってしまった。なので全作品を読んではいないし、このシリーズの良い読者とは言えない。さすがにリアルタイムで読んでたわけじゃなく津原泰水を読み始めてから後追いで読んだので比較的最近のことである。ただ私の場合は極端としても、『五月物語』『五月日記』の評価がシリーズ中でも特に高いのは間違いないはずで、今回の同人版発行もそのことと無関係ではあるまい。あとは五月の相手役になるミッキー・ローク似の先輩は著者本人がモデルではないかという珍説(笑)もあり、なにかと話題性には事欠かない。ちなみに岡村五月は作者の近刊『クロニクル・アラウンド・ザ・クロック』に再登場している。これはむろん少女小説ではなく(語り手は少女だけど)、分類としては一般のミステリ。閑話休題。
実はサークル参加する友人がいて、彼自身も津原読者だったので必要なら一緒に買っておいてくれるという申し出もあったのだが、謎の使命感に駆られてやはり自分で行こうと決意。冷静に考えると特に加筆修正などがあるわけでもない(だろう)し、オリジナルのティーンズハート版が今も手元にあるので、その意味ではマストアイテムというわけでもないのだが、そこは理屈ではないのである。
そもそもコミティアというのは創作系、オリジナル作品のみの即売会なので、コミケや他のイベントに比べてもいわば純文学のような志の高い創作活動をしている人達のイベントというイメージで、もちろん大部分は私の幻想というかむしろ一種の偏見だろうとは思うのだが、参加のハードルが高いと昔から感じていた。今回津原先生きっかけではあるが、むろん他のサークルもあるわけで個人的に要注目の作家の人達が参加するのも観測できたのでこれを機に行ってみたかったというのもあるかもしれない。
とはいえ、コミケ以外のイベントとなると本当に久しぶりすぎてすっかり勝手を忘れており、カタログ(開催情報やサークルリストが掲載されておりこれが入場券代わりになる)を買ってないことに前日になって気づいた。昔やったことある! コミケはカタログ買わなくてもサークルチェックも入場もできるようになって久しいし、当日までカタログが売り切れることはまずない。しかしコミケは特殊な例なのであって、そこまで規模の大きくないイベントでは書店扱いのカタログは事前に売り切れてしまうことが間々ある。それも私が行くような新宿、秋葉原、池袋などは真っ先に売れてしまう場所であったりする。さらに悪いことに、今回のコミティアでは感染症対策で入場制限を設けるため発行部数を抑えており、カタログ売り切れの場合の当日フリー入場もないと判明。当日販売のカタログは早い時間で売り切れる見込み、とまで公式サイトに書いてあるではないか。慌ててティアズマガジン取扱書店をチェックしたが、新宿にあるアニメイト、とらのあな、メロンブックスなどでは在庫情報を検索するも確認できず、電話での在庫問い合わせは受け付けないと明記されているところもある。昔は高田馬場の芳林堂でも扱ってたと思うんだけどなあ。思い余って池袋のジュンク堂に電話してみたら「ある」とのことでしかも当日18時までに引き取るなら取り置きもしてくれるそうで、助かった。さすが大手。電話口でティアズマガジンが通じるかが心配だったが、最初に出た人に「どのような本?」と訊かれて「たぶんコミックだと思う」と答えてコミックのフロア担当に繋いでもらったのが地味にファインプレーだった。さすがにコミック担当には一発で通じた。ジュンク堂は企業スペースに出展もしていた。ありがとうジュンク堂。
リアル書店に電話で問い合わせて取り置きをお願いするなどヘタすると人生で初めてかもしれないし、池袋に買い物に行くのも数年ぶりである。人間必死になると何でもやってのけるものだ(大げさ。
カタログを見ると、一般参加者も添付の連絡先カードを提出して入場証のリストバンドを受け取る入場手続きするという流れになっていた。コミケのようなWebカタログもあるがこのカタログ一冊毎に固有のコードを入力してアカウント作成する仕組み。隔世の感がある。
あとは会場もお馴染みの東京ビッグサイトか、と思ってたら青梅展示棟の方だった。そういうものが出来てコミケでも使われてるのは知ってるが、行ったことはない。東京テレポートの駅前だから全然別の場所ではないか。
で、やっと当日の話だが、開場前に行ったら入場待機列でかなり歩かされたこともあって、入場できた時点で既に疲労困憊だった。体力がなさすぎる。目的のブツは開始一番にアッサリ確保できたので、他にチェックしたところも一通り回って、昼イチくらいにはもう力尽きて引き上げてきた。午後は津原泰水先生御本人もいらしたようで、直接目撃できなかったのは残念。肉眼で確認したことはまだない。
他も一応事前にカタログのサークルリスト(配置順)に頭から目を通したら一番最後あたり(つまり外周)に知ってるメジャーというか商業系やってる作家がドカッと集まっててちょっとビックリ。小林由高先生はオリジナル同人やってるのはなんとなく知ってたけどコミティアにいるのは少し意外だった。7zu7先生は行った時点で既にペーパーも何もかもなくなってた。中村博文先生は最初から何もなかった(笑。 これは予想通り(失礼。
個人的に最近推してる井上とさず先生の本が入手できたのも大きな収穫である。この人はなるほどコミティア作家と言われて納得だなー、というイメージ。
あと不勉強でなまにくATK先生のお仕事は棺姫のチャイカとか『ハルチカ』のアニメくらいしか存じておらなかったのですが尻をフィーチャーしまくった画集を出してたので思わず買うてしまった。
とにかく疲れた。
『五月物語』『五月日記』プレミアム版の津原泰水先生のサイン、当然といえば当然なのだがちゃんと「津原やすみ」名義だ! 上が現行(?)バージョン。これはさらにレアなのでは。そして落款はどちらも「津原やすみ」なのね。 pic.twitter.com/UfwvRcm0ct
— 上海大賞典 (@fka_shanghai) November 21, 2021
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