StarDust Tears

『蓬莱学園の冒険!』プレ30周年記念イベント #1

 先日書いたイベント、行ってきました。
 ネイキッドロフトっていわゆるライブハウスの構造にすらなってなくて、道に面したドア一枚開けたらいきなりもう客席なのねw

 内容についてあまり詳細を書くのはあえて控えますが、イベントは二部構成で、第一部は毎月の蓬莱タイムズから主なトピックを拾いながら90年の一年間に何が起こっていたのかを追っていく、第二部は登壇者も変わってゲーム史における蓬莱PBMの位置づけやSNS時代の現在にやるとしたら? と言った話。サプライズゲストはよーすぴことスクウェアエニックスの齊藤陽介氏でした。予想してたけど(笑。

 何度か書いてるけど私はN90には参加しておらず、その直後くらいにTRPGから小説でハマって後追いで追える限りは追って94年のS-NETには参加したけれども、90年動乱のことはほぼ、公刊された本を通じてしか知らないので、そこに含まれていない当時のナマの情報がやはり面白かった。グランドマスター柳川さんの作り方としては「地球最後の秘宝」という大ネタをメインプロットに据えたけれどもそれが何なのかは開始時点ではいくつかの案があるだけで決めていなかった。八犬士に相当する八人の少女も、七人まで決めてたけど最後の一人は空けておき、PCで良いキャラが出てきたらピックアップしたかった。ただ最悪の場合はNPCを昇格させるために候補として「悌」の徳目に合う妹キャラのNPCを何人か用意してたという。「仁」が中村渠弓美と早苗の二人で一つになったのもその名残だとか。「二人と書いて“仁”だから」とかいろいろこじつけた、と言ってたのがいかにも新城先生っぽい(笑。 つまり最初からかっちり決め込んでおかずにフワッとした状態で各マスターに投げて返ってきたものをまとめる、というやり方がうまく転がった、とのこと。
 中村博文画伯がいきなりイラストに戦車を描いたので、それアリなんだ! となったミリタリー系マスターが悪ノリしてそこから世界観が一変した、という逸話はあまりにも有名ですが、中村先生いわく「ハレンチ大戦争などを念頭に置いてたので学園紛争といえば戦車はデフォルトだと思ってた」とのこと。他にも不必要なまでに大群衆が描き込まれた絵が多い点を指摘され「今の体力では絶対描けない」とコメントしていた(笑。
 スタッフのみならずプレーヤーが歴史を動かしていた、という話も初めて具体的に聞けた。たとえば6月に勃発した内戦が、「応石の力で島内での重火器使用ができなくなる」ことで停戦に至ったのは一人のプレーヤーのアクションに書かれたアイディアと平和を願う思いに柳川さんが感じ入って採用した、とか、南豪君武が10月の時点で暗殺されたのはその愛人だったPC(!)のアクション成功によるものだとか。南豪暗殺のくだりは各種資料でもけっこうドラマチックに書かれていていろいろ想像を掻き立てられるものがあったと思うんですが、それが一PCのアクションで発生していたというのはすごい。それから、名を言うをはばかるかの生徒会長こと犀川静もPCだったというのをそもそも知らなかったんですが、彼女が強制退学・公式記録抹消になるに至った流れもなんとなく伝わってきた。これは書いていいのか、よーすぴ氏は犀川にかなり近しい立場のキャラだったらしくそのポジションで発言していた。

 今日のイベント参加者には「断片」なるものが一枚ずつ配られ、これは紙に印刷された文書をバラバラに破いた文字通りの断片で、これをバラ撒いて現在のSNS環境でどれくらいの速度・規模・精度で情報が集約されるか、という実験の趣旨らしい。これもいかにも新城先生っぽい(笑。 これは当時、PBMのプレーヤーが一人で得られる情報は自分のアクションに対するリアクションシートだけだったのを、プレーヤー同士が連絡を取り合って情報を持ち寄り蒐集することでシナリオを「攻略」していたことに対応している。そういえば、どうしてもそういった協力プレーが困難な地方プレーヤーなどに配慮して入れたのが女生徒連続殺人事件のシナリオで、完全に独力で攻略できるようにいわゆる本格ミステリとしてキッチリ作った、とのこと。これも最初は一人、次に二人、さらに四人、と殺される人数が増えていくことで最後に例の「八人」がターゲットになるのではないかというミスリードも狙っていたとか。さすがにいろいろ仕込んでたんだなあと感心した。閑話休題。
 断片はさっそくツイッターに集まっている。もちろん私も上げた。

 イベントの後、懇親会的な二次会を居酒屋でやるとのことだったのですが、ただでさえ90年動乱未体験者は少数派だろうし知り合いもいないし凄い人がたくさん来てるだろうから、とても参加する度胸がなく申し込んでなかったんだけど、まだ参加できる枠があると中津さんからアナウンスがあったので思わず飛び入り的に参加してしまった。アウェーな呑み会ただでさえ苦手なのに。でもツイッターで知ってる(笑)人が何人もいたり、この歳になって自分が完全に若手というか若僧扱いになる場というのも新鮮で、いろんな人にいろんな話が聞けて楽しかったです。ありがとうございました。今回はあくまでプレイベント第一回ということで、来年の20周年本番に向けてこれからもいろいろあるようなので楽しみです。

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