StarDust Tears

『王様になれ』

シネマート新宿
 シネマートって初めてのはずだけどなんか既視感あると思ったら、同じビルに角川シネマ新宿が入ってて必然的に同じようなフロア構成になるせいか?

 the pillows 30周年映画。『王様になれ』は曲名。
 ピロウズ30周年の映画って何なんだよみたいな話はいろんなインタビューとかで語られてるし説明を書き出すとキリがないので書きませんが、山中さわおが一本釣りで監督に指名したオクイシュージは舞台の演出家で映画の経験はないという話で大丈夫か? と不安になりますよね。そういう友達企画みたいなやつで、しかも異業種監督でうまくいくイメージが見えない。しかし、ピロウズ30周年には乗っかっていくつもりでいたし、低予算映画ってどんな感じだろう? という興味もあり、半分は怖いもの見たさで観た。ストーリーの原案は山中さわおなので、そこはピロウズ的な物語が見られるんではないかという期待も少しはあった。

 結論からいうと低予算感とかインディーズっぽさみたいなものはなく、ちゃんとメジャー感ある映画に仕上がっている。どうもプロデューサーの三宅はるえ女史がキーマンで、この人が監督周りのスタッフはじめ一流の環境を整えた模様。デキる。その代わり予算は当初想定の4倍になったとのことなのでその時点でかなり本格的になってたのね。

 主演の岡山天音も、ドラクエⅩのドラマ『ゆうべはお楽しみでしたね』に出てたのを見たけど「イケメンじゃない主人公」にハマる役者として重宝されてるだけじゃねえの?(失礼)と思ってた。しかし今回はちゃんと映画の芝居をしてて全然違ったなあ。素晴らしい。冒頭のシーンは予想以上のコミュ障っぷりでハラハラする。

 山中さわおPodcastをずっと聴いていて、それほど山中さわおの人格全てに心酔しているわけではなく(笑)ミュージシャンとしての素の発言がたまに出るのが面白いと思ってるんだけど、それでもしばらく聴いているとさわおの物の考え方や価値観のツボはだいたいわかってきて、この映画に登場する山中さわおはまるでセルフパロディのようにその通りの言動なのでそこも面白い。本人は「映画のインパクトとして監督に要求されただけで実際はあんなにキレない」と言ってたけど。
 主人公が吹っ切れたように見えて普通の映画ならブレイクスルーする展開になりそうなところでもう一段、ドーンと落とすところはピロウズならでは。なかなか評価されない時、どっちを向いて表現するか? という話なのね。
 あとそうだ、ヒロインが主人公にビンタで気合いを入れるシーンもあってよかったです。びんた。

 それから、音楽映画としてもすごくいいです。ライブシーンは専門のユニットが撮ってるし、劇判もさわおが担当してるので曲への特殊な入り方なんかも自由自在。思わずサントラCDも買ってしまった。入場前は物販の列が長すぎて上映時間に間に合わなかったので、最終回の上映だから終映後は店仕舞いしちゃって買えないパターンじゃね?(前にそんなことがあったような)と思ったが買えた。サントラは私が買ったのでラス一でした。

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