StarDust Tears

『アリータ:バトル・エンジェル』

早稲田松竹

 銃夢ってぜんぜん興味なくて以前Kindleで無料だった最初の1巻だけ読んだ形跡があるんだけど全く記憶になくてですね、少なくとも主人公の名前はアリータじゃなかっただろってのはわかったので、タイトルも違うし銃夢は「原案」くらいの感じなのかな? と思ったら逆に名前以外はかなり原作に忠実っぽいね。

 この映画自体にも興味なかったのでフルCGアニメなのかと思ってたんだけど、顔がCGアニメで目がでっかく作られてるのはヒロインのアリータだけで(正確には回想シーンに登場する仲間のサイボーグ兵士も)、他は普通の実写VFX(という語用が正しいかわからんが)なのね。そういうの平気で作っちゃうんだなあアメリカ人は。

 イド博士の役がクリストフ・ヴァルツで、夜な夜な出かけては手を血で汚して帰ってくるので巷で噂の連続殺人犯じゃないか? とアリータが疑うのだが、ほらやっぱり悪い奴だった、と思ったら実は賞金首を狩るハンターウォリアーだった、という展開で逆に驚いた。クリストフ・ヴァルツというキャスティング自体がミスリーディングだったのか。

 えーと、数百年前の大戦で文明は半ば崩壊して唯一残った空中都市ザレムとその下の地上に住む人達がいる。アリータは先の大戦を戦ったサイボーグ兵士なんだけど記憶を失った状態で蘇生され普通の女の子として生き始めるが、本能的に戦いを求めて博士の反対を押して賞金稼ぎになり、また空中都市に上がるため大金が必要な彼氏のために金を稼ごうと、モーターボールという格闘技レースみたいな競技に参加したりする。で、空中都市を支配してるノヴァって男が前の戦争の時の攻撃目標でもあったことが判明して、彼氏との因縁もあってやっぱりお前を殺しに行くぞみたいな話になるんだけど、いつの間にか兵士に戻っちゃってないか? 彼氏は殺されかけたのをサイボーグ化して蘇生するんだけど、本当は大金を積んでも空中都市には行けませんという真実を知らされて、せっかく助かったのにヤケクソになって直接よじ登って空中都市まで行こうとして、途中でネズミ返しみたいな罠に引っ掛かって落ちて死んでしまう。なんだこれ。しかも断崖から腕一本でぶら下がったアリータが彼氏の手を摑むんだけど手が離れて落ちちゃうというクソみたいなベタなシーンをやってて、正確にはサイボーグの身体がバラバラになった状態なので腕ごとちぎれて落ちるんだけど、一度助かった彼氏がそのすぐ後に落ちて死んじゃうという流れもアホみたいだし正直笑ってしまった。アリータはその彼氏を引き留めようとして、二人が一緒にいられればそれでいいじゃん! 的なことを言うて説得して、戦いを捨てて愛に生きる宣言をするわけだけど、結局彼氏が死んじゃった後はノヴァへの復讐を目標にモーターボールに継続参戦してて、でもモーターボールのチャンピオンになれば空中都市に上がれるというルールそのものが完全にノヴァの掌の上だよね? という感じで、原作は全体としてどういう話なのかわからんが映画としては全く納得し難い幕引きだった。

 ただ、VFXを駆使したド派手なアクションとかあまり興味ない私ですしモーターボールみたいな猛スピードで走りながらガツンガツンやり合うみたいな絵面って何やってるのか全然把握できなかったりして楽しめないことが多いんですが、そこはさすがジェームス・キャメロンというべきか、画の見せ方がうまいのか殺陣が整理されてるからでもあるのか、非常に見応えのあるアクションでした。そこは素晴らしかった。

 まあ、最終戦争後の荒廃した世界みたいなイメージそのものがもはやどうしようもなく古いのは如何ともし難い。

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