StarDust Tears

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』

新宿バルト9

前作から5年も経ってたのね。

 観た人が皆、画面が暗すぎて何やってるかわからんのでIMAXで観たほうがよいと言うてて、確かに前回もそのはあったな、と思いつつ時間の都合もあって普通のスクリーンで観たのですが、私はそれほど気にならなかったなあ。前回のほうが暗かった気がする。劇場のコンディションがよかったのか、例によって最前列の席で観たのもよかったのか不明。まあ再三書いてる通り個人的にそこまで映像にこだわりないし、夜間のMS戦闘描写なんて何だかわからんくらいが普通じゃないの? そういう映画だし、みたいなノリなので気にならないだけかもしれない。

 以下ネタバレ。

 個人的に今回一番キたのは、作中に「ミノフスキー=イヨネスコ型熱核反応炉」って言葉が出たとこですかね。イヨネスコって固有名詞の文献上の初出はどこなのか知らないのですが、私の知る限りではサイバーコミックスの創刊号に沖一先生が描いた『ミノフスキー博士物語』が、親友であり共同研究者でもあったイヨネスコの裏切りによってミノフスキー博士は学会を追放されてしまうという話なんですが、それ以前からミノフスキー・イヨネスコって言葉があったのか、あった気もするけどそれはあくまで本編の後からどんどん追加でくっつけられていったいわゆる「裏設定」の一つだったはずで、それが今回ハサウェイ本編のセリフに出たことで、サンライズ的には「映像作品で描写されたものが公式設定」らしいので、晴れて公式認定された! てことでよいのかな。まあこの用語を擦った何かは過去にいろいろあっただろうし、既存の「設定」にも誰が考えたんだかよくわからんものがいくらでもあるし、そもそもサンライズのいう公式設定にも個人的には納得いかない部分は多々あったりするので、私はもう何が公式とか気にしても仕方ないという境地に至って久しいのですが、富野由悠季原作機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ劇場版、というメインストリームど真ん中にこんなのが出てきたので、作ってるやつガノタじゃん!! てなりました、という話。

 あとは前回も書いてましたがメカニックのジュリア・スガちゃんがおっぱい丸出しで整備してるシーンはあるのか? に注目してたものの設定画でビキニだったので期待薄だなとは思っていた。前作にも1カット登場してたのは今回TV版を観て初めて気づいた。

 ところが問題のシーンはビキニではなくなぜか「裸オーバーオール」になっていて、「Tシャツくらい着ろ」というハサウェイの台詞との整合性を保っていた。Ξの機体を離れてからガバッと脱いで目の前にいた別のクルーがビックリするという演出になってたが、脱ぐんならハサウェイに見せたれよ! ではなく、劇場なんだから乳くらい見せてもよくない? ガンダムだからいろいろ展開するの折り込んで最初からそういうコードでやってるのかな。前のもさっそくTV放送したわけだし。

 もう一つの、ギギVSメイスの修羅場。うえしゃまインタビューによると「ここでの会話は文字にするとかなり生々しいセリフになっているんですが、音としてはお客さんに聞かせない、リップ音だけが絵に乗るような収録をしています。」とのことでそういう聴こえ方にはなってたが、台詞を知った上で聴くとちゃんと言ってる感じではあったので、ヘッドホンで聴けば確認できるんじゃないかな。ちなみに台詞は(前回も書いたけど)「……大佐、セックス上手でさ、オーラルもアナルも要求されたでしょ?」である。ここは酷いこと言われてはいるけどメイスがキレるのがやや唐突に見えてしまって、もっと前からピリピリした空気を演出したほうがわかりやすいのになあと思ったが、それは富野流ではないのだろう(原作もそうなってないし、もっと深いところでピリッとしたやりとりにはなっている)。ケネスも、メイスを連れ込んでるところにギギが来て鉢合わせしちゃって焦るみたいなのがもっとあればいいのにそれも(原作にも)ないんだよな。ラブコメ脳。

 それからオエンベリの勝手マフティー軍がキンバレー部隊に虐殺された衝撃映像を公開する、て言うてるところも、脱出したメンバーがビデオを持って宇宙に上がる、とかコピーはない、とか言うてるんだけど今どきその場で YouTube に上げればいいのに、てなるのをどうするのかと思ったらそのままやってた。まあ地球環境保全のため最低限しか人は住んでない建前だから、ろくな装備もなくゲリラ戦やってる不法居住者が気軽に使えるような通信インフラは整備されてないのかもしれないし、ハンディカムで撮ったのをそのまま持って命からがら逃げたって感じだったから、コピーを本家マフティーに渡せればすぐ公開できたのにそれすら出来る状況じゃなかった、ということなのか。あとあれを放送した局はロンデニオンのTV局と原作には明記されてて、ロンドベルの拠点だったロンデニオンはやはり反体制寄りなのかな? とか考えると面白いんだけどそのへんは描写がなかったな。

 イラムが原作以上にハサウェイと仲良い感じに描かれていて、ケリアを挟んでもう一つの三角関係のように見えるのは映画としてうまい。メッサーのパイロットハーラ・モーリーが金髪に青インナーカラーのツインテールで声も異様に可愛くて(CV:山崎真花)やたら目立つ。すぐ戦死しちゃうけど! そういやメッサーってあんな色なのね。ミヘッシャも原作中巻には名前が出るだけなのにやたら出番が多かったな。前作で人気出たから増やしただろ、と思った。いいメガネ。逆シャアパートは……作るのに5年もかかったのこれのせいじゃねえの? と思った。ハサウェイの完全に症状が出ちゃってる感じ映画としては正しい見せ方だけどあの状態で戦争やってるのは無理だよな。完全にシャアの側に重ね合わせてその台詞言うてるのも、まあマフティーの主張とシャアのやったことには通じてる部分があって世間にはそう見られてるにしろ、ハサウェイ=シャアみたいな演出は、必ずしもそういう意図ではないにしろ少し踏み込みすぎではないかなとは思った。量産型νガンダムとかは以下略。

 ギギがハサウェイの指導教官アマダ・マンサン教授に電話かけるシーンは原作ではギギ側の視点で書かれていて、結果的に伝言がマフティーの組織伝てにハサウェイに届く流れではあるものの、この映画では教授が完全にマフティーのシンパであることが露骨にわかる見せ方になっている。まあ原作でも教授のところに出入りしてたクワック・サルヴァーがハサウェイをオルグしたことになってるので最初からそうか。なんとなく教授はもう少し一線を引いた立場かと思っていた。回想シーンとかでクワック・サルヴァーが画面上に出ないかなとちょっと期待してたのだが。

 EDがガンズだった件は、正直ピンとこないのだが、タイアップなしで監督の好きな曲でいいんなら全部の映画がそうしてほしいなあと思ってしまった。最近の映画はEDロールがクソ長いのでまず監督の使いたい曲を流して終わったらあらためて映画のために用意された曲が始まる、みたいなのも多いが、前作がヒットしたからそのへんも自由が利いたのかしら。その分挿入歌があったみたいなことでもあるのだろうか。

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